認知症と単なる物忘れの見分け方について

認知症と単なる物忘れの見分け方は、特に行動や記憶に関する細かな違いに注目することで分かりやすくなります。以下に具体例を挙げて、どのように両者を区別するかを説明します。

1. 物の置き場所を忘れる

  • 物忘れ: 例えば、鍵や財布をどこに置いたかを一時的に忘れてしまうことはありますが、冷静に探せば思い出すか、誰かが助けると見つかることが多いです。
    : 「どこに鍵を置いたかな?」と探している間に、玄関に置いたことを思い出す。
  • 認知症: 置いた場所だけでなく、物の使い方自体を忘れることがあります。例えば、鍵を手に持っていても、鍵が何のために使うのかが分からなくなる場合があります。
    : 鍵を冷蔵庫に置いてしまい、なぜそこに置いたか分からなくなったり、鍵の使い方自体を忘れる。

2. 日付や場所を忘れる

  • 物忘れ: 日常的な忙しさの中で日付や予定を忘れることがありますが、カレンダーや予定表を見ればすぐに確認できるし、日付の感覚は維持されています。
    : 「今日が何曜日だっけ?」と一瞬忘れても、カレンダーを見て思い出す。
  • 認知症: 時間や場所の感覚が大きく乱れることがあります。自分がどこにいるのか、今が何年何月なのかすら分からなくなる場合があります。
    : 自宅にいながら、「ここはどこだ?」と混乱したり、数十年前に戻ったかのように「今日は1980年だ」と言ってしまう。

3. 会話中の単語を忘れる

  • 物忘れ: 特定の言葉が思い出せず、言い換えや少し考えた後に元の単語を思い出すことがあります。
    : 「あの、ほら…あの建物の名前が思い出せないけど、あそこだよ」と言い換えつつ思い出そうとする。
  • 認知症: 言葉が出てこないだけでなく、話の流れ自体が支離滅裂になり、会話の意味が通じなくなることがあります。さらに、適切な単語が見つからない状態が継続することが多いです。
    : 家族と話しているときに突然話が脱線し、「今日は電車に乗った」と言い出すが、実際には家から一歩も出ていない。

4. 判断力や計画性の低下

  • 物忘れ: 一時的に優先順位を見失ったり、忘れてしまったりすることがあっても、後で気づいて修正することができます。
    : 「スーパーに行く予定だったのに、後回しにしちゃった。でも、明日行けば大丈夫」と後で計画を修正する。
  • 認知症: 日常の簡単な判断や計画ができなくなり、複雑なタスクや判断を避けるようになります。たとえば、家計を管理することや、料理の手順を忘れ、レシピ通りに料理ができなくなることがあります。
    : ガスコンロの火をつけたまま忘れたり、冷蔵庫に食品をしまわないなど、基本的な日常行動に影響が出ます。

5. 繰り返し同じ質問をする

  • 物忘れ: 時折、同じ質問を繰り返すことがあっても、記憶にある情報を頼りに答えを思い出すことができます。
    : 「今日は何時に出かけるんだっけ?」と何度か確認するが、一度答えを聞いた後は記憶に残る。
  • 認知症: 直前に聞いたことや、自分で話したことすら忘れてしまい、短時間のうちに何度も同じ質問を繰り返します。また、答えを聞いたことも覚えていないことが多いです。
    : 家族に「今日ご飯食べた?」と何度も聞き、直前に答えを聞いたことすら忘れてしまう。

まとめ

  • 物忘れは加齢による自然な現象であり、生活に大きな支障をきたすことは少ないですが、認知症は日常生活全般に影響を与え、記憶や判断力の低下が進行します。
  • 物忘れの場合、思い出すための手がかりがあれば記憶が戻ることがありますが、認知症の場合、記憶そのものが失われ、情報を思い出すことができません。
  • 認知症が疑われる場合には、医師による早期の診断と治療が重要です。